前立腺がんとは?
前立腺とは男性にしかない臓器で精液の一部である前立腺液を作っています。位置は膀胱の下で、尿道を取り囲むようにあります。他の臓器と同じように前立腺にもがんが出来ることがあります。前立腺がんは通常50歳以上に起こるがんで、日本人の高齢化や食生活の欧米化に伴い増加傾向にあります。
前立腺がんの症状
早期の場合には何も症状はありません。進行して骨などに転移を来した場合は痛みを伴ったり、前立腺がんが進行して大きくなってくると排尿の症状をきたすことがあります。前立腺がんの方がおしっこが近い、出にくいなどの症状を訴えることがありますが、早期の場合には前立腺がんの症状ではなく、前立腺肥大症や過活動膀胱の症状である場合がほとんどです。
前立腺がんの検査
- PSA(前立腺腫瘍マーカー)
- 前立腺がんの診断にPSAは欠かせません。採血検査で測定します。前立腺がんのほとんで上昇しますが、前立腺肥大症や急性前立腺炎でも上昇することがありますので、PSAが高い=前立腺がんではありません。
- 直腸診
- 肛門から指を入れて、前立腺の硬さや表面の形を触ります。前立腺がんで時に前立腺が硬くなり、表面が凸凹になることがあります。しかし前立腺がんがあるにもかかわらず直腸診で触れないことも多くあり、直腸診だけで診断することはできません。
- エコー
- 前立腺の形や内部の性状を診ます。腎臓、膀胱その他に異常がないかを確認します。
- 前立腺針生検
- 前立腺がんを疑う場合、肛門からエコーの器械を挿入し、直腸もしくは会陰から針を刺して前立腺組織を採取し、病理検査にてがんの有無を確認します。前立腺がんの診断確定には必ず必要な検査です。当院では施行しておりませんので、通常天理よろづ相談所病院(他の希望病院があればご相談ください。)に紹介して施行していただいております。
他の画像検査(CT、MRI、骨シンチ)
- MRI
- 前立腺にどこにどれくらいの大きさのがんがあるか、前立腺がんが膀胱や直腸に進行していないか調べるために行います。前立腺がんが確定した後に行う場合と、針生検前に行う場合があります。
- CT
- 前立腺がんと診断された後、骨や内臓に転移があるかの確認に行います。
- 骨シンチ
- 前立腺がんは進行すると骨に転移する場合が多く、全身の骨の転移を調べるために行います。前立腺がんと診断された後に施行します。
前立腺がんの治療
- 手術療法
- 手術で前立腺をがんも含めて全部摘出する方法です。以前は開腹手術が主でしたが、最近では手術支援ロボットであるダビンチを用いた前立腺全摘除術が広く行われ、良好な治療成績をあげています(保険適応)。
- 放射線治療
- 前立腺の外から放射線を当てる方法(外照射)と前立腺の中に放射線を出す器械を埋め込む方法(小線源療法)があります。
- ホルモン療法
- 前立腺がんは男性ホルモンにより増殖することが知られており、男性ホルモンの働きを抑えると前立腺がんの増殖が抑えられます。睾丸を摘出する外科的去勢術と定期的に男性ホルモンを抑える注射や飲み薬を投与する方法があります。高齢者や転移のあるがんには第1選択になり、非常に効果が高く重大な副作用の少ない治療法です。
- 抗がん剤治療
- ホルモン治療が有効でない、または効果がなくなった患者さんに使用します。